南部美人の酒づくり 「水」編
折爪馬仙峡の伏流水をふんだんに
一升瓶に入っているお酒の成分の内、一番多い成分は水で約8割を占めます。豊かな自然が育む水はどこの蔵でも誇りです。私たちも水の恩恵に大変恵まれた土地です。県立自然公園折爪馬仙峡からの伏流水をふんだんに使います。蔵の中で沸き出でる井戸は浅井戸で5mくらいの井戸です。そこから湧き出てくる水はなんと青色をしています。
この伏流水は中硬水で、カルシウムやリン、およびマグネシウムが酵母と麹の増殖や発酵を促進し、しっかりとした味とこくのある酒に仕上がります。 逆に醸造用水に有害な成分の代表選手が鉄分です。鉄には清酒に茶褐色の色をつけたり、味や香りを悪くします。また、マンガン、重金属類が酒質には良い影響を与えません。
昔から水の良い土地に酒蔵はありましたが、近年は環境悪化のため水に苦労する蔵がたくさんあります。 そんな環境の中、南部美人はこの折爪馬仙峡の伏流水をふんだんに使用することができます。
仕込み水 分析表 | |
---|---|
符号 | 内井戸水B |
pH | 6.89 |
有機物 | 2.3 |
クロール(ppm) | 38.1 |
鉄(ppm) | 0 |
マンガン(ppm) | 0 |
ケイ酸 | 49.4 |
硬度 | 2.5 |
醸造用水としての条件 | |
---|---|
色彩 | 無色透明であること |
臭気 | 異常でないこと |
味 | 異常でないこと |
pH | 中性または微アルカリ性 |
鉄 | 0.02ppm以下で、含まれないことが最適 |
マンガン | 0.02ppm以下で、含まれないことが最適 |
有機物 | 5ppm以下であること |
亜硝酸性窒素 | 検出されないこと |
アンモニア性窒素 | 検出されないこと |
細菌酸度 | 0.5ml以下であること |
参考までに、一般の水道水のデータも載せてみます。
同じく見える水でもずいぶん数値が違うことがおわかりになると思います。
水道水 分析表 | |
---|---|
硬度 | 2.26 |
鉄(ppm) | 0.0018 |
マンガン(ppm) | 0 |
pH(ppm) | 7.24 |
有機物(ppm) | 1.9 |
ロール(ppm) | 20.51 |
ケイ酸(ppm) | 18.80 |
カリウム(ppm) | 9.30 |
マグネシウム(ppm) | 0.01 |
カルシウム(ppm) | 0.02 |
ナトリウム(ppm) | 115.00 |
水道水の水質基準 | |
---|---|
鉄 | 0.3ppm以下であること |
マンガン | 0.3ppm以下であること |
有機物 | 10ppm以下であること |
クロール | 200ppm以下であること |
カルシウム、マグネシウム等 | 300ppm以下であること |
硝酸性窒素と亜硝酸性窒素 | 10ppm以下であること |
pH | 5.8以上8.6以下であること |
一般細菌 | 1ml当たり100以下であること |