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熊本大地震、9号酵母発祥の蔵「香露」の状況について

熊本大地震において、被害にあわれた全ての皆様にお見舞い申し上げます。また、お亡くなりになった方も多数ということでお悔み申し上げます。

私たちは東日本大震災でたくさんの支援を全国からいただきました。初期の頃は情報が全く無くて、多くの日本酒ファンの皆さんが東北の蔵元の状況を知りたくても知れない状態でした。震災後初期の段階で情報はとても大事になりますので、私のほうで得ている情報を今後もわかり次第お知らせしていければと思います。

まずは、熊本といえば、協会9号酵母発祥の蔵元「香露」があります。私は実は、東京農大3年生の時に、実習で2週間「香露」に行っていました。杜氏さんや蔵人と一緒に蔵に寝泊まりしながら9号酵母での仕込みを勉強させていただきましたし、当時、全国の蔵元へ鑑評会出品酒用の酵母として渡されていた香露の9号酵母(熊本酵母)の培養などもやっていました。私の酒造りの基礎をつくってくれた蔵でもあり、今でも南部美人の9号酵母に関しては、その実習のご縁で香露さんからいただいた9号の元株の熊本酵母が使われています。そして香露さんは日本吟醸酒協会の会員蔵でもありますので、今回の地震の被害を私はとても心配していました。

様々なルートからの情報ですと、2回目の地震で煙突が折れて貯蔵のお酒もかなり割れており、とても深刻な状況だそうです。特に煙突が折れる、といのはまさに東日本大震災でもうちの蔵がそれに近い状態で、被害を受けました。しかし今回はそれ以上の被害のようですので、かなり心配しております。

さらに、電気が通っていなければ、熊本酵母の元株を保存している冷蔵庫も使えないとなり、そうなると伝統ある9号酵母の元となる熊本酵母の株が失われてしまいます。それは日本の酒造業界にとって、大変な損失で、とても心配しています。

2度目の地震での被害が大きいようで、これは他の熊本の蔵にも言えるのではないでしょうか。

まだまだ熊本には素晴らしい蔵がたくさんあります。私たちに今出来ることは限られていますが、熊本のお酒を飲んだり、熊本の物産や食材を食べることで応援することは出来ます。東日本大震災でも東北の蔵のお酒を皆さんに支援で飲んでいただき、東北の蔵は早期に立ち上がることが出来ました。ぜひあの時、東北を救ってくれた日本中の日本酒ファンの皆さんに、今回の熊本大地震で大きな被害を受けた日本酒や焼酎の蔵元のお酒を今すぐじゃなくていいので、長い目で飲んで支援していただければと思います。

東北を救ってくれた日本酒ファンの皆さん、ぜひ熊本にも暖かい支援の手をお願いします!

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