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南部美人inイスラエル その6

イスラエルとパレスチナ。世界中を不安にさせる対立をしている国と地域ですが、今回ご縁があって、パレスチナ自治区に行く事が出来ました。イスラエルはユダヤ人の国、パレスチナはアラブ人の国で、その境目には大きな「壁」が建設され、お互いの行き来をかなり制限されています。パレスチナ側に入ると、道路のいたるところに赤い看板が設置され、そこには「この道より奥にイスラエル人が入れば命の保証はない」と書かれているそうです。

日本人のほぼすべてが持つパレスチナへのイメージは「怖い」「戦争」「テロ」が多いのでしょうが、実際に入ってみるとそこには普通の生活があり、テロリストが常に活動しているような感じは全くありません。ヨルダン川のほうのパレスチナは比較的安全で、問題はエジプトに隣接する飛び地の「ガザ」だそうで、ガザには絶対に入れないし、ガザの人はガザを出ることもできないそうです。

そんなパレスチナになぜ行く事になったかというと、パレスチナには「TAYBEH BEER」というビール会社があり、そこではワイナリーも併設される立派なホテルも経営していて、そのホテルで南部美人を提供できないかという話から行ってきました。アラブの国でビールやワインを製造する人がいるなんて驚きです。ビールやワインの製造場も見せてくれるという事で、酒が禁止なアラブの国でどんな人がどんな形でビールやワインを製造しているのかも非常に興味があったので、思い切って行ってきました。

実際、このビール会社では年に1度、パレスチナでオクトーバフェストを開催しており、1万人以上の方々がビール工場に集まり、ビールを楽しむのだそうです。アラブの国でそんなことが出来るなんて驚きでした。ホテルの1階につくられたワイナリーはコンパクトながらとても清潔で、暑い国ならではですが、樽の貯蔵庫が冷蔵庫の中に入っていて、これにも驚きました。その場で樽からワインを試飲させていただきましたが、このレベルがパレスチナで出来るなんて、というほど驚きの赤ワインでした。

実際に私も自分の南部美人を持っていき、ハーバード大学卒業のビールの醸造責任者と、ワイナリーとホテルのオーナーに試飲をしてもらいましたが、日本酒の味わいに驚いていました。準備が整い次第、パレスチナに輸出が決まりましたので、おそらく世界で初めてパレスチナで日本酒の販売がスタートすることになります。このようなチャンスをいただき、恐怖もかなりありましたが、思い切って飛び込んで本当に良かったと思っています。

さらには、パレスチナで素敵な出会いもありました。パレスチナはアラブの国なので、女性が起業するのはとても難しいのですが、パレスチナ人の女性が起業した死海の塩を使った石鹸やオリーブを使った化粧品などを手掛ける「PALOVINA」の女性社長と親しくなることが出来ました。どれだけの困難を乗り越えて企業なされたか、色々とお話を聞くことが出来ましたし、実際にその石鹸などを今後日本へ輸出する作戦も考えているそうで、私も応援したいと心から思いました。

イスラエルとパレスチナ。日本人が抱くそのイメージ通りのところもあるのでしょうが、今回私が訪れた場所や人は、そんなイメージからは程遠く、どこの世界にもいる普通の人たちで、そして平和を愛し、酒を愛し、その国の未来を案じ、何か行動を起こしている素晴らしい方々ばかりでした。今の日本人が忘れてしまっている大事な「何か」を持っているような気がしました。今回、本当に世界は広く、まだまだ知らない事が多すぎることも学びました。貴重な経験をさせていただき、そしてパレスチナという新しい地域を知ることが出来、日本酒はまだまだ世界に羽ばたけると心から思う事が出来ました!!日本酒はただ飲んで酔っ払うだけのものではありません。日本の伝統文化としてその味や歴史は世界で評価されることを今回の訪問で改めて感じました。日本酒の可能性は無限大です。まだまだ私も頑張らなければいけません。真の意味で、世界中で日本酒で乾杯できる世界を創造するために・・・

 

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