蔵元だより
瞬間冷凍(スーパーフローズン)貯蔵が切り開く新元号時代の新しい生酒のカタチ
やっとご報告です。一部の方々にはお話ししたり、試飲していただき、ご意見いただいていました、瞬間冷凍(スーパーフローズン)の特殊技術(通常の冷凍とは全く違う)を使った生酒の発表です。
2年間の研究を重ねてきた瞬間冷凍(スーパーフローズン)の技術を使い、蔵でしぼりたての生原酒を冷凍貯蔵し、冷凍のままお店やご自宅に届けることが出来るようになります!
世界で一番おいしい、蔵で飲むしぼりたて生原酒の味わいを変化させることなく時間を止めて冷凍貯蔵することが可能になりました。発売は、2019年6月を予定しています。
ー開発の経緯ー
日本酒は昭和の時代までは長らく常温貯蔵で腐らせない貯蔵方法が一般的でした。しかし、平成の時代に入り、地酒の評価が高まり地方の高品質な酒を造る蔵は冷蔵貯蔵をすることが一般的になってきました。その中でも平成の中頃からは火入れ殺菌したお酒ではなく、蔵でしぼった火入れ殺菌前の「生」のお酒が急速に人気を得て市場で高い評価を得てきました。
しかし、「生」のお酒は冷蔵貯蔵をしても、お酒の中にある「酵素」が活きていますので、酵素による熟成変化をしやすく、生の過熟が問題になっていました。
そんな中、最高にフレッシュなしぼったばかりの生酒の鮮度をそのまま、酵素の動きを仮止めしておくという考えがこの瞬間冷凍の技術になります。
普通の冷凍庫に入れてお酒を凍らすと、冷凍膨張により瓶が割れてしまいます。また味も変化して苦味などが目立ってしまう事が経験的に知られていました。
しかし、テクニカン社が開発した「凍眠」による瞬間冷凍の技術は、凍る速度が圧倒的に早い(720mlで約20分)ので、冷凍膨張をほとんどしません。よって瓶が割れることもありません。さらに、瞬間冷凍する事により、お酒の持つ味わいの変化がほとんど無く、専門家による官能検査の差異発見きき酒結果では「変化無し」という意見が圧倒的で、味の劣化を指摘される事はありませんでした。
また、冷凍してからの貯蔵試験では、冷凍して貯蔵した生酒と冷凍せずにマイナス7度の冷蔵庫で貯蔵した生酒の半年以上経過したお酒の官能検査では、冷凍したお酒のほうが品質的に安定し、フレッシュで劣化の反応もほとんどない事がわかりました。
生酒は熟成がいったん進むと、もう元には戻れません。しかし、瞬間冷凍で時を止めてしまえば、時計の針は動かず、解凍した時から時計の針は動き出します。
今後は蔵でしぼったばかりの生酒をその場で瞬間冷凍することで、しぼってからの時間を「ゼロ」にして時を止め、そうする事で日本中、世界中どんな遠くまでも冷凍輸送する事で、蔵でしぼったばかりの生酒の究極にフレッシュな味わいが距離を「ゼロ」にして味わう時代が平成のその先の時代にやってきます。
日本酒の貯蔵技術は新たな時代を迎えます。今回はこの瞬間冷凍した純米大吟醸生原酒を日本国内と世界で発売させていただきます。